
クリスマス・マーケットが立つ季節が巡ってくると、ドイツの空は重くて分厚い雲に覆われます。
氷雨混じりの暗い空模様を見上げれば「陰鬱」を絵に描いたような季節ですが、逆にそれがクリスマス・マーケットの暖かさを際立たせてくれているのかもしれません。
クリスマス・マーケットでグリューヴァイン(ホット赤ワイン)と並ぶ人気の飲み物が、アイヤー・プンシュ(Eierpunsch)というドイツ風卵酒。日本の卵酒とはかなり趣きが異なりますが、カラダを温めるという目的は同じ。
アイヤー・リカー(卵リキュール)にヴァイス・ヴァイン(白ワイン)、ヴァニーレ(バニラ)、ツッカー(砂糖)を入れて、煮立たせ、上にザーネ(ホイップクリーム)をのせるのが一般的なレシピです。見た目がプリンっぽく可愛らしいのでつい気を許してグイッと飲むと、カーっと来る強さ。リキュールにワインが加わっているのでアルコール度はかなり高く、ネットリとした飲み口にアツアツ感が加わり、それが食道を下っていくのがハッキリわかるほどです。
ドイツの食べ物飲み物は、原点が「保存」にあるので、やたら「濃い」のがその特徴。つまり、甘い、塩辛い、酸っぱいに中途半端はなく、濃い飲み物の三本指に入るのがこのアイヤー・プンシュです。濃厚、甘味、アルコール、ネットリ感、熱燗…があいまって、最速でカラダを温めてくれます。ドイツの冬を演出してくれる飲み物のひとつです。