お話を聞いたのは
この人

イオンリテール(株)畜産商品部
鈴木 久地

Product 02
2000年から発売しているトップバリュ グリーンアイナチュラルの鶏肉「純輝鶏(じゅんきけい)」。抗生物質や合成抗菌剤を一切使用せず、適切な湿度・温度管理を徹底した環境で育てられているヘルシーな鶏肉として人気を集めています。実はこの純輝鶏、品質の向上とともにトレーやパッケージなどの環境負荷を軽減する取り組みを継続中。畜産商品部の鈴木久地さんに詳しく教えてもらいました。
お話を聞いたのは
この人
イオンリテール(株)畜産商品部
鈴木 久地
精肉売場にずらりと並ぶ多くの商品にはプラスチックのトレーが使われています。このトレーから環境負荷を減らそうと、まずは “薄肉化”から取り組んだと鈴木さんは振り返ります。「お客さまの環境に対する意識の高まりを受けて、純輝鶏のトレーを極力薄くしてプラスチック使用量の削減をめざしました。純輝鶏は取扱量が多いため、1年間での削減量は約24トンという試算になります」。この成果に満足せず、鈴木さんが次に取り組んだのがトレー不使用への挑戦でした。
鶏肉のパッケージとしては珍しいノントレーは2020年から採用がはじまり、以降、石油由来から天然由来のバイオマス配合型への変更、天面フィルムを薄くするなど、段階的にプラスチック使用量の削減に成功。主にむね肉やもも肉などの塊肉にノントレーを使用しつつ、合わせて検討を進めていたのが薄切り鶏肉の商品化でした。「お店で鶏肉をカットすると鮮度も旨味も落ちるのですが、純輝鶏はパートナーの指定農場さんで製造・加工まで一貫して行えるため、鮮度を落とさず薄切り鶏肉を提供できます。この商品化に向けて包材にも試行錯誤がありました」。
薄切り肉はノントレーで提供できないため、加工された鶏肉の鮮度を長く保ち、しかも環境にやさしい包材を研究。「鮮度維持には鶏肉の酸化や菌の増殖を抑えるガスを封入するという答えが見つかりましたが、このガスを漏らさずにトレーやラップを薄くすることが難しくて。トレーの形状を変えながら、強度やラップの付きを確認する試作を何度も行い、消費期限の検査をクリアしてようやく完成しました」。開発に費やしたのはおよそ1年。“産地パック”と呼ぶこの包材は消費期限を一般的なトレーの約2倍延長し、食品ロスにも貢献しています。
このようなトレーやパッケージの改革は、純輝鶏だけでなくタスマニアビーフにも。「こちらは“スキンパック”いう特殊なフィルムで食品の形状に合わせて真空状態にする包装で、肉の酸化を防いで消費期限が延長される効果があります」と鈴木さん。まだ一部の店舗での展開ですが、消費期限が長くなることで食品ロスの削減が期待されています。
トレーなどのプラスチックの削減に加えて、包材による鮮度を長期化する技術で環境に貢献している畜産グループ。「包装技術で環境配慮もおいしさもあきらめない」という鈴木さんの言葉が印象的でした。
「産地で加工まで行えることが、おいしさを保つ鮮度と環境への配慮を可能にしている理由。これは長年にわたって生産者の皆さんと信頼関係を築いてきたことが一番大きいと感じています」と話す鈴木さん。今後は1kg袋のパックで重量あたりのプラスチック削減をめざし、「畜産でできること」に挑み続けていきます。
純輝鶏(じゅんきけい)
(2024.10.17現在)