お話を聞いたのは
この人

イオンリテール(株)食品本部 水産商品部 バイヤー
初瀬 雄二



Product 05
日本の水産資源を取り巻く環境は大きく変化しており、漁獲量は長期的な減少傾向にあります。記憶に新しいのが、2025年の広島県での牡蠣の不漁。原因は記録的な高水温と雨不足による高塩分が重なったことにあると言われており、気候変動と漁獲量は非常に密接な関係にあります。今回は長年水産に関わっているバイヤーの初瀬雄二さんに、このような環境変化の中での商品開発について聞きました。






お話を聞いたのは
この人

イオンリテール(株)食品本部 水産商品部 バイヤー
初瀬 雄二


漁獲しても多くが廃棄されていた低利用魚や、今まで食用として十分に流通してこなかった魚の活用は、水産資源の有効活用における重要なテーマのひとつ。イオンリテールではこうした魚に着目し、商品化に向けた取り組みを進めてきました。例えば、下処理した国産のメダイ、シイラ、ホッケなどを「焼くだけでふっくらおいしい」商品として販売してきました。

「小さな魚は干物にしにくいため、オイルベースのソースに漬け込むことでパサツキ感を軽減し、また冷凍保存によって賞味期限を伸ばすことで食品廃棄の減少も意識してきました」と初瀬さんは発売当時を振り返ります。
こうした取り組みで培ってきた「魚を無駄なく使う」という考え方は、現在の商品開発にも引き継がれており、食べ慣れた魚についても、より無駄なく部位を活用する商品開発に挑戦しています。

2025年10月に発売されたのが青森サーモン®を使ったフレークです。「新商品は何か今までにないモノに、と社内で検討していたとき、お惣菜や刺し身として使用している青森サーモン®の中骨周りの身が使えるんじゃないかと気づき、フレークに活用することを決めました」。青森サーモン®は豊穣の海と称される日本海海域で育まれ、身の締りと脂のりの良さが特徴。3枚下ろしにした後の中骨周辺にある身も使わないと!と、ふんわりしっとりとしたフレークへと商品化が進みました。「国内の天然鮭は漁獲量がかなり減っていまして、2025年の漁獲量は前年に比べてわずか30%。限られた資源を大切に使うことも重要になっています。魚類のおいしさを提供することを絶やさないようにと、さまざまな部位や工程でこれまで活用しきれなかった部位にも着目し、商品化の可能性を探っています」。

水産のバイヤーとして長らく務めてきた初瀬さんにとっても、「魚が獲れない」状況が続いているのは経験のないこと。「大衆魚のサバやサンマが獲れず、価格は上がる一方です。これは漁師の皆さんにとっても収入に影響する重要な問題。このままでは日本の魚食文化を衰退させてしまうことも危惧されるため、子どもたちに魚を好きになってもらいたいと、食べやすい骨取り魚の商品も継続しています。漁獲量が減っても、自分たちにできることを考えて実現する力が今、水産担当に求められているのだと感じます」。

気候変動によって、この時期にここでこれが獲れるという従来の常識が変化し、先の見通しが立たない状況になっていると話す初瀬さん。それでも諦めずに魚の価値を見出して提供していくことが、お客さまのためはもちろん、漁師などの水産関係者を守ることにつながると信じています。未利用魚の活用からはじまったお魚の無駄を減らす取り組みは、そのノウハウを蓄積しながら、新たな商品開発の可能性を探し続けています。
トップバリュ
青森サーモン®のフレーク
(2026.04.03現在)